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遺言がある場合の相続手続き


質問


Q.父は五年前に死亡し、一緒に住んでいた母も先月死亡しました。

相続人として私以外に兄二人がいます。

母は生前、今住んでいる家と土地を全部私に「相続させる」旨の公正証書遺言を作成してくれました。

そこで家と土地の名義を私名義にしたいのですが、兄二人の実印が必要でしょうか。

私だけで名義を変えられるでしょうか。


回答


A.特定の不動産を「相続させる」旨の遺言があれば、その不動産をもらう者が単独で所有権移転登記手続きができます。
 

遺贈の場合


遺言書の内容が特定の不動産を遺贈するとの内容であった場合には、不動産をもらうことになった受遺者は、単独で所有権移転登記手続きをすることはできません。

登記をするためには、法廷相続人全員との共同申請を要しますので、法廷相続人全員の実印と印鑑証明書が必要となります。
(なお、遺言執行者があれば、受遺者と遺言執行者とで共同申請すれば足ります。)

「相続させる」旨の遺言の場合


これに対し、特定の不動産を「相続させる」旨の遺言があれば、相続することになった相続人が単独で相続に基づく所有権移転登記手続きをすることができます。

他の法廷相続人の実印や印鑑証明書はいりません。

もっとも、遺言書が公正証書ではなく、自筆証書遺言の場合には、登記手続きをする前に、家庭裁判所に遺言の検認の申し立てをしなければなりませんし、不動産の記載の仕方が不十分で登記手続きができない場合もあるかもしれません。

そのような場合には、他の法廷相続人の協力が必要となります。

協力が得られない場合には、裁判を提起する必要も生じるでしょう。

特定の不動産のみでなく、遺言者の財産を「全部相続させる」旨の遺言の場合にも、特定の不動産を「相続させる」旨の遺言と同様、相続した人が、単独で相続に基づく所有権移転登記手続きができます。

これに対し「全財産の二分の一を甲に、四分の一を乙と丙にそれぞれ相続させる」旨の遺言の場合には、どの遺産を相続するのかが具体的に記載されていませんので、遺産分割協議が必要とされるでしょう。

なお、ご質問のような遺言があっても、他の法廷相続人がこれに気がつかず、法定相続分に従った共同相続の登記をしてしまう可能性もあります。

このような登記がされてもあなたの権利が失われるわけではありませんが、いったん共同相続登記が入りますと、他の共同相続人全員の協力がなければ、遺言書通りの登記を実現することができなくなりますし、もし、登記に協力してくれない場合には、他の相続人全員を相手に訴訟を提起せざるを得ません。

ですので、なるべく早く、遺言書による相続の手続きをしてください。
 


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